大食一族 久遠の詩

俺屍リメイクをプレイします

補完SS

心配ご無用

寝ていてくださいよ!!必ず大将首を取ってきますから! 取ってくる、ったって。相手は骨だろう。そんなに肩肘を張らなくていいよ。それに、体調は悪くない、心配するな。

疑問と結論と当主と一族

ワタシには、自信があった。 自分一人では儘ならぬとも、側には頼れる家族がいる。事実、初めて当主として、隊長として三人で出た討伐で、金になる大槌を四本、術が二本に迷宮奥の大将討伐まで成すことができた。上々といえる戦果だろう。

SSではなく考察めいたものですが

ツイッターで話題になった「初代がもし、源太さんと会えたらどんな風になる?」というテーマについて、つらつらとプレイヤーの意見を。

経験者はかく語りき

「戦果は上々だな!」 勝鬨をあげるような兄の言葉に、頬を上気させたまま何度も頷いた。まさしく、戦果は上々。

わたしのばん 後編

約一年ぶりに足を踏み入れた白骨城。 陰鬱な空気も薄気味悪い鬼も、寸分変わらずそこにあった。それでも、丁度一年前に兄さまと取ってきた武器を振るう当主は、その空気ごと切り裂いてゆくようで。しかしずいぶん上まで来て、あっさりと目的の槍を手に入れた…

わたしのばん 前編

手が痺れていた。 「薯芋花姉上?」 槍の柄を握ってはほどき、を繰り返す。手に、いつものように力が入らない。そういえば、いくら待っても息が整わないし、燃え髪が連れているあの小さな鬼もたくさん屠ったのに、どうにも、力が湧いてこない。意識がどこか…

反省と後悔ばかりの

「母上、当主さまたち、遅いね」 「そうね、甘明。少し遅いわね」 我が子の声に、そっと手を握りながら答える。握り返してくるその力に、強い不安が籠っていた。大丈夫、大丈夫と言い聞かせて、そのまま抱きしめてさすってやる。すぐに胸にしがみつかれ、洟…

冬の家族会議

「野菜も残さず食えと言ってるだろう!」 「いやですよ父上、野菜なんて葉っぱじゃないですか。野に咲く花を愛でるのも、風に揺られる葉を見るのも好きですが、食べるのはちょっと」 「屁理屈をこねるな!!!野菜は野菜だ!食え!」 全くお前は!と怒鳴る叔…

姉さん 後編

上へ、上へ、一歩でも上へ。 鬼気迫る、とはまさにこのことだろうか。骨で作られた回廊をぐんぐんと上がっていく。上へ、上へ。息はきれ、足はもつれているのに、それでも歩みを止めようとしない。

姉さん 中編

交神の予定を引き伸ばして、九重楼へ行く話には同意してくれたものの、討伐を伸ばして武器獲得を狙う話には、なかなか首を縦に振らない。行く、行くのはいいけど一月で、という押し問答。こちらが折れかけたそのとき、遮るように口を開いたのは、薯芋花だっ…

姉さん 前編

思えば、討伐中から様子がおかしかった。 先陣をきって走る後ろ姿はそのままなのに、度々息を切らしては立ち止まり、それがなかなか元に戻らない。表情はいつもの笑顔なのに、薙刀を握る手を何度も見つめ、強く握ってはほどきを繰り返す。時折、空を睨むよう…

立ち上がるための

「たくさん、食べて」 元気ださなきゃね、と一息で言おうとして、喉が詰まった。息を吸おうとしたら鼻の奥が痛んで、言葉が継げない。目頭はじんと熱く、とどめていたものはいとも容易く決壊してしまいそうだ。弟も妹も俯いて黙ったままで、赤く腫れた目が、…

最期

悲鳴のような娘たちの声が聞こえる。 大丈夫、大丈夫だよと言っているつもりなのに、口は上手く動いてくれない。身体に力を入れることが出来ず、重力に抗えずに膝から崩れ落ちた。鎖帷子が擦れて大きな音を立てる。風が隙間を抜けていく甲高い音は、まるで鬼…

1019年のお正月

「父さま、すごい雪」 「父上、薯芋花の耳が真っ赤だわ」 「父さん、姉さんの頬も真っ赤で痛そう」

米子、麺太、土産話をする

素敵な我が子

「漢さま!松葉ノお甲様のもとより、新しいご家族を預かって参りました!」 1018年、7月。 討伐に向かった白骨城では、本当になんの戦果もあげられなかった。有用そうな術の巻物、米子が使えそうな薙刀に、大江山で尽きた人から鬼が奪ったであろう武器防具の…

たくさんたべるこつよいこよいこ

「ご無事のご帰還、なによりでございます!」 イツ花の溌剌とした声が耳に届く。 荒廃した街の様子から目を背けるように、親子揃って下げていた目線をゆっくりと上げれば、門の前に立ち、こちらへ手を振るイツ花の姿が見えた。 繋いでいた手をほどき、高く結…

出撃前に

「初めての出陣に際し、セン越ながら漢様にご助言申し上げます」 イツ花は柔らかい雰囲気は崩さず、畏まった口調で告げる。 「戦の駆け引きに慣れるまでは、薬をケチらず。体力の回復は余裕を持って、早めにお願いします」 携帯袋に入れた丸薬を、布越しに触…