約一年ぶりに足を踏み入れた白骨城。 陰鬱な空気も薄気味悪い鬼も、寸分変わらずそこにあった。それでも、丁度一年前に兄さまと取ってきた武器を振るう当主は、その空気ごと切り裂いてゆくようで。しかしずいぶん上まで来て、あっさりと目的の槍を手に入れた…
手が痺れていた。 「薯芋花姉上?」 槍の柄を握ってはほどき、を繰り返す。手に、いつものように力が入らない。そういえば、いくら待っても息が整わないし、燃え髪が連れているあの小さな鬼もたくさん屠ったのに、どうにも、力が湧いてこない。意識がどこか…
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