大食一族 久遠の詩

俺屍リメイクをプレイします

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

そこにはいけないけれど 後

悪い夢を、頻繁に見るようになった。 戦いに出ている夢。為す術もなく鬼に殺される夢。目の前で家族が倒れる夢。 悲願達成を急いた。死にたくなかった。自分も家族も、もうこれ以上死んでほしくなかった。だからと奥へ奥へ、足を進める。けれど結果はどうだ…

そこにはいけないけれど 前

「名前はひかり、職業は剣士になってもらいたい」ああ、楽紗の声はよく通るな、と思った。 目を開けるというただそれだけの行為に、やたら時間がかかる。頭の中には霧がかかっているようだったけれど、それでも胸まで掛けられた掛け布団の感覚や天井が見える…

光年先の未来④

遠のいた意識は、ほどなくして戻った。優勝賞品を手に、心配そうにこちらを覗き込む家族に、当たり前に大丈夫だよと伝える。けれど、歩けるよという言葉は途中で遮られ、思い切り眉尻を下げた息子としばらくの問答ののち、結局、おぶわれることとなった。 道…

光年先の未来③

人の目がある。人の声がする。それらには興味と好奇心と少しばかりの恐怖と、そして期待が含まれている。権力を持つものと持たないもののがまぜこぜになっていて、一人倒れるたびに悲鳴のような歓声のようなものが響き渡る。足場はしっかりとしていて、蹴り…

光年先の未来②

長く悩んだ。長く、長く悩んでいた。だから、話は長くなる、と思っていた。 けれど、楽紗が交神に赴くこと、そしてそれは彼女から持ちかけられた話であったこと、ねえさまの血を確実に継いでいきたいと思っていること。その三つが家族に受け入れられるのはあ…