此岸のわたし④
目を開ける。
ぼんやりとした視界の中、それでもとっくに朝がきていることは理解できる。夢を見るかと思ったけれど、結局気がつけば夜が明けていた。目元に手をやれば、ほんの少しいつもより熱をもって腫れぼったい。夜通し泣いたら目が腫れるのか、と霞のかかった頭の中で、そんなことを思った。
朝食の時間だろう、居間の方に行かなければ。わかっているけれど、なんだか気力が沸いてこない。
目を閉じれば、黒く煤けた燃え殻がすぐに浮かぶ。燃やしたことに後悔はない。けれど、やはりじくじくと胸は傷んでいる。
一つ、息を吸って吐く。
振り絞るように体を起こして、できるだけ何も考えないようにしながら、居間の方へ足を向けた。