2020-01-20 1025年8月 繋いでいく 7代目 小町 先月、もみじくんを見送った大食さんち。もみじくん、仙人さまになりました。仙人ってガラじゃないのでは、と思いましたが、それはそうとして。 続きを読む
2020-01-18 つきる② 補完SS ※グロテスクな表現があります。ご注意ください。 「討伐の刻限までもう時間がないわ。急ぎましょう。この奥に、髪がいるはず」 焦りを滲ませた夢の表情が、炎に照らされている。娘が慌てたように頷き、むぎが誰より早く足を踏み出した。炎は相変わらず踊るようで、熱がじりじりと肌を焼く。けれど、先ほどまでひっきりなしに垂れていた汗が、ただの一滴も流れない。あぁ、いよいよか、と思った。 続きを読む
2020-01-15 つきる① 補完SS 懐に忍ばせた養老水が、歩くたびにたぷん、と音を立てている。 高温の蒸気が吹き上がる音、溶岩が流れ落ちて地面を焼く音、鬼たちの足音、何かが煮えるような音。家族が話している。気勢を上げる声が祠に響く。これだけ色々な音が同時に脳へと届いているのに、微かなはずの、たぷん、たぷん、という水音は、やけにはっきりと耳に突き刺さっていた。装束の上から、薬壺を撫でる。 どうか使うことがありませんように、と。 ただただ、祈った。 続きを読む